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会員様インタビュー

小松易

片付けたいのに片付けられない──そんな悩める人たちを救ってきた「片付け士」の小松易さん。「片付け研究会(かたラボ)」が、2009 年に始められたのも、その後、多くの人を惹きつけて拡大してきたのも、会場がValvexだったことが大きい、と振り返ります。Valvexはどんな役割を果たしたのでしょうか?Valvexとの出会いから、離れることになるまでを、小松さんに伺いました。

かたづけ士 小松易

2018/09/03

1.片付けで人生を変える─「片付け士」

─お名前と、どんなお仕事をされてるかを教えてください。

小松:名前は小松易(こまつ・やすし)です。仕事は「片付け士」です。「片付け士」と聞いても、何の仕事かと、更に質問されることも多いので説明します。片付け、いわゆる整理整頓を、アドバイスする仕事です。始めた当初は個人向けだったのですが、今はもう9割以上が会社向けで、例えば経営者の方向けの「片付けコンサル」、社員向けの「片付け研修」などをやったり、いろんな団体様向けに講演もしています。世の中の人が片付けでもっと幸せになったらいいなあと思って、「片付けで人生を変えるコンサルティング」というキャッチフレーズで、スッキリ・ラボの代表をしています。

─「片付け士」を始められたのは、いつ頃ですか?

小松:2005年5月末で12年勤めてた会社を辞めて、6月から「片付け士」という名前の付いた青い名刺だけ持って一応スタートして、同じ年の2005年9月1日に個人事業として「スッキリ・ラボ 片付け士 小松 易」となりました。ですから、次の9月でちょうど丸12年ですね。

─当時はどういう方向けにどういうことをされていたのですか?

小松:スタートは個人で、片付けたいんだけど、なかなか片付けが自分ではできない、という人向けに、一対一でいろいろアドバイスをして、その人が自力で片付けできるようにする、というようなサービスでした。当時は誰もそういう仕事をしてなくて、ネットで調べても片付け専門というのはなかったので、未開の地を分け入って進んでいくような感じでしたね。
当時は講演とか研修とか、そんなのまったくやろうとも思ってなかったし、とにかく一対一で伺って、家の片付けをお手伝いする。それも一つだけ決めてたのは、その人の家の片付けしたい物は触らずに、自分でやってもらうための方策方法を考える、ということ。決まったら、その人ができるように応援するような立場を貫こう、と、それが「片付け士」だと決めてやってました。

2.Valvexとの出会い

─Valvexと出会われたのはいつ頃ですか?

小松:Valvexとの出会いは4年ぐらいしてからですね。2008年の12月くらいだと思います。ある方の紹介だったんです。実は、銀座で別のシェアオフィスを借りて自分の拠点は作ってたんですよ。そこにもセミナーをする小さな会議室はあったんです。ただ、ちょっと違う形でセミナーを本格的に始めようかな~、という思いもありました。銀座のその場所は、最大で10人、ぎゅうぎゅうに入って15人というキャパだったので、そこよりもう少し大きい場所で、新たな自分のチャンネルとしてスタートしようかな、と思ったのです。たまたま当時、品川に住んでましたので、家からのアクセスも良い。それが、Valvexを借りようかなと思った動機ですね。

─ここの第一印象は覚えてますか?

小松:第一印象は、「木!」というイメージですね。 木が多いというか、「あ、ここまで木を使ってるんだ」ということと、一番は、今もそうですけど、椅子やテーブルが上手く見事に収納されるんですよね。だから、私は体を動かすようなことをお客様にやってもらう仕事ではないですけど、「あ、ここ、何もない状態も作れるんだ」と思いました。普通は、端っこに椅子やテーブルが残るじゃないですか。上手く収まるように、一から建築設計されてたみたいで、その印象がすごく強くて。あとは何というかな……居心地が良い、という感じですね。

─居心地が良い?

小松:白基調の会議室で、緊張しながら聞く、というのは、場所としては大事な要素だと思うんですけど、Valvexの場合は、入ったらリラックスする方が最初にきて、それでその場に馴染んでいく。家の延長みたいな雰囲気は、ちょっと他にはないな、という感じは当時しましたよね。

─立地についてはいかがでしたか? 私は、ここに来るのは4回目くらいですが、毎回どこから曲がるのかが…(笑)

小松:あはは(笑)やっぱりね。

─セミナーをやる上で、ある程度、人がちゃんと来れるか、ということは気にかかりますよね。そのあたりはいかがですか?

小松:新しい方が来るタイミングが半年に1回あるんですよ。1回来れば2回迷う人は…中にはいるか。だけどそこまではないんですよね。曲がり角を1回、正しい曲がり角を曲がるとすぐ来るんですが、我慢しきれなくて曲がっちゃうんですよね、途中か奥で(笑) ローソンまで行っちゃうとだめだとかね。でも新規の方がちょっと迷うことは、こちらも気にはしてて、でもだんだんアナウンスを事前に繰り返してやってくと期を経るごとにそういう方も減ってきて、大きな問題ではなかったですね。それぐらい住宅地に入ってくるので、静かなんですよ。良さとしては、静かだし寧ろここでやってる我々がうるさいくらいで(笑)、怒られたことはもちろんないですけど。だから、そこの良い面とね、ちょっと奥に入ってく難しい面とはある。ただ2度間違う人はほぼいないのでその辺は、そのあたりかなと。あと、大井町がイメージとして遠いイメージがありますよね。山手線の品川からさらに京浜東北線でもう1駅行くっていうのは、ちょっと遠いイメージを持つ人もいるでしょうが、品川から2分くらいですから、電車でね。そこから降りればそんなに遠くないかな、とは思いますけど…

3.「片付け研究会(かたラボ)」を育んだValvexの雰囲気 ~みんなで楽しく簡単に!~

─2008年12月に会員になられて、それで始められた企画が…?

小松:「片付け研究会」です。コンサルがベースでそこから派生してセミナー、セミナーはコンサルのための呼び込みで、セミナーやるってことが基本だったから、単発で、一回来て「頑張ってくださいね」というパターンだったんです。だけど、もうちょっとセミナーを長く一人の方と…と思うと、月1回のセミナー形式で6ヶ月くらいで、それで、片付けを教えるんじゃなくて、「スッキリ・ラボ」の「ラボ」の部分をもうちょっと世の中に発信する、ということで、「片付け研究会」をValvexでやろう、となりました。ただ、やろう、というだけで、青写真はほとんどなかった。
だけど、Valvexを場所として選び、アットホームな雰囲気もちょうど良かったので、1月に「こういうことをやりますよ」という説明会を初めてやって、「2月から本格スタートです」とやったんですよ。そしたら、10人ぐらいの方がそこで申し込んでくれて、そこから始まったんです。今でも覚えています。

型に囚われずにできることも、このアットホームな雰囲気が良い結果をもたらすんです。真っ白で会議室っぽいところだとやっぱり緊張しちゃうんだよね。つい会社にいるような雰囲気になっちゃうじゃないですか、しかも夜やってたので、会社から帰ってきて、ここの会場に来てまた会社っぽい雰囲気ではなくて、ちょっと家まではいかないけど家に近い延長線みたいな、木の香りもして、そういう良い雰囲気の中でできるのが良い。でも、テーマは片付けじゃないですか。そのお客さんというか参加者にとってはテーマとしては重い人もいるし、それを乗り越えるために来てる、というちょっと肩肘はってくる方もいます。だけど、やってくうちに、楽しい場になっていく。この場で生まれた言葉、いまだに使ってますけど、片付け研究会のキャッチフレーズ「みんなで楽しく簡単に!」。いつもあそこにあるホワイトボードに、片付け研究会何期生って書いたあと、違う色でいつも書いてありました。

いろいろ聞いてくと、一人でなかなかうまくいかなかった、それは孤独さがあるわけですよね。で、もうとにかく片付けがつらい、と(苦笑) でもなんとかしたい、と。捨てらんない! つらい!孤独でつらい、そして難しい! でも、みんなでやったら簡単にいくんじゃないか。山登り、一人で登るとつらい登山もみんなで登るとしゃべってるうちに、高尾山くらいだったら行っちゃうじゃないですか。そんなイメージで場として片付ける、というのを、大体みなさんはノウハウを何とか得て、うちでやっていく。でも終わりがないというか、やってもやっても片付かない、そんなところに、ぐるぐるぐるぐるいるわけですよね。

それを月に1回だけど、この場に来て、ここでいろいろ会話して、いろいろ約束を決めてく。1ヶ月こうやります、と決めたあと、本番は1ヶ月間あって、片付け研究会のこの2時間はある意味オアシスで(笑)、ここでいろいろ決めてそのあと1ヶ月間が本当にみんなが頑張る時間で。また月1回の2時間はここに来て休息というかいろいろシェアして、いろいろ「あ、やったー!」みたいなことを、みんなで褒め合ったりしながら楽しい時間を過ごして、最後に約束は決めて、これやります、と言ってまた本番、みたいな。それを半年繰り返す、いわばここが本当に片付け研究会という場であり、オアシスのような、そんな場になってきたのかな。それで、どんどん拡大しました。そしてまた友達を呼んでくる人も出てきたりね。

─「片付け研究会」はいつまで続いたのですか?

二期生を募集したのは半年後。それで6ヶ月やって初級、次は中級、もちろん自分で選択していただくんですけどね。気が付いたら、一人の人がValvexに1年半通うという流れも作れて…。それで最後は十期生まで行きました。2014年ですね。
十期生で終わって、片付け研究会がどうなったかといったら、ここで途中から始めた、年に何回かの「一日ワークショップ」というのがあって、35~6人で一日朝から夜まで過ごすワークショップを外部でやってるんです。ここスタートでやったことのエッセンスが外部に出て、新規の方が入ってきたり、リピーターさんも結構いて、今、その形で外に引き継がれてやってます。

4.Valvexを出て、次のステージへ

─Valvexを出られたのはいつ頃でしたか?

小松:2015年の1月頃だったと思います。うちの会社で、ずっと継続して続けてこの場所を使ってた、片付け研究会の6ヶ月バージョンをどうしようか、となって、きりのいい10月、十期生までにして、一旦「かたラボ」やめよう、という話になったんですよ、6ヶ月バージョンはね。で、ワンデーワークショップだけ残す形にしたんです。何でそうなったかと言えば、片付け自体を私は12年前から始めていましたが、だんだん片付けを教える方が増えてきて、その方は依然やっぱり個人向けの片付けなんですよ。でも個人も子供の片付けから、今は実家の親の片付けまで幅広くいろんな対象者、もっと言うと遺品整理の方も片付けとも言えるし、間…例えば中学生高校生就活、そして社会人になって会社の片付けみたいな。で、私には、どのステージが良いかと考えたときに、もともと12年会社員やってましたから、やっぱり会社に戻って会社で、会社の利益とか売り上げに貢献するような、組織が元気になったり、チームが生き生きとするような、そういうことができるように、ベースはやっぱり片付けをすることっていうのは変えずに、ただ対象をそういうふうに企業向けにし始めたんです。

そうすると、だんだん個人向けの「かたラボ」でやってる活動を、ちょっとシフトする必要が出てきて、一番のベースの「かたラボ」は相当な時間を使ってたので、ここをどんどん収束させて、八期生終わらせて、九期生終わって、十期生だけ最後残って、ここで最後やったんだったかな、Valvexで十期生終わらせた。で、ワークショップだけ少し残してやってたんです。で、同時に会社で研修をしたいとか検討してる方向けに、経営者とか人事の方をお呼びして10人ぐらいのところで、仕事力がアップするとか、働き方改革みたいなお題目を付けて、その片付け講座として、デモ講座をやって、そこで良かったら御社で研修しませんか?講演しませんか?と、イントロダクション的な、導入的なのをここでやり始めたんですよ。で、いろんな場所を検討しながら、少しずつ違う場所も使っていくうちに「かたラボ」も終わり、ここでやってくのも、だんだんとうちでやってる形に少し違ってきたので、それで毎月使う形がだんだん減ってきたというのもあって…変わっていくタイミングで一旦退会した、という感じですね。

─次のステージで、お客さんの層もまったくがらっと変わってきたのですね。

小松:そうですね、かなりお客さんの層が、変わってきましたね。個人の片付けを教えてる分には、ここほど良い雰囲気が合ってる場所はないな~とは思ってますが。

─話は変わりますが、近年、本も出されたとか…

小松:ちょうど、1回目の「片付け研究会」が始まった2009年の3月に、テレビの取材を受けました。「ガイアの夜明け」という番組です。その番組の最初のスタートの取材がここだったんですよ。DVDで見る機会がありますけど、見てみたら、Valvexがいっぱい映ってます、看板も映ってるし、ここに来てる参加者の声もオンエアされたんです。そのテレビのおかげで、メディアに取り上げられるきっかけになり、その年の年末に、『たった1分で人生が変わる片付けの習慣』という本を出すことになりました。それが1年かけてベストセラーになったんです。この場でスタートしたテレビのドキュメンタリーの撮影から、本になり、本がまた1年かけて売れる、といういい流れが、ここからスタートしたと思っています。

5.Valvexオーナー吉田さんについて

─オーナーの吉田さんについて伺います。長いお付き合いだと思うのですが、吉田さんはどういう人ですか?

小松:すごく新しいことにすごく感度が高い人で、実際、吉田さんは、私がこの仕事を始めたときに、じゃあうちのオフィスの片付け、ちょっと手伝って、と言われて、いや手伝わないですよ~ただ片付けアドバイス、と言ったら、アドバイスでいいよ、と言って、今3ヶ月って決めてやってる経営者向けの片付けの原型を、個人的にまず受けていただきました。実はValvexの最初は、たぶんお父さんのストロボの開発工場で、すごい薄暗くて、片付いてない場所も見せてもらいました。実際片付けた場所は吉田さんのオフィスだったんですけど、あれよあれよという間に、この場自体もどんどん片付いて、結局、ここがValvexになったんです。で、吉田さん、まだ当時はよくわからない、海のものとも山のものともわからない私のサービスに、いち早く目を向けてくれて、すごい応援していただいて、それでセミナーやってコンサル受けてくれて。非常にあったかい人で、何て言うのかな…「いいよ、いいよ」という感じがいつもあって。帰りが何とかなんて細かいことにこだわらないというか(笑)、細かいことにこだわらず、こちらもつい甘えちゃうんですけど。なんか融通が利くというか、そういう吉田さんの良さはありますよね。いつもそういうところで、特に起業した頃は、非常に救われました。

会員になった経緯も、吉田さん自身がここを始めるっていう話を聞いて、最初は銀座のシェアオフィスがあるから、別に、ここは借りなくていいかな、と思ったんですけど、ただご縁のある場所として、ここが片付いて一つの場所を作った、というので見に来たら、すごい素敵な感じになってたんでね。この場自体がリラックス出来るっていう感じと、吉田さんのいつも持ってる雰囲気がすごく合ってるな~っていうのはいつも思いますよね。

6.Valvexを知らない方・検討中の方へ

─Valvexをまだ知らない方、ちょっと興味あるんだけどどうしようかな~、と迷ってる方……にメッセージをいただけますか?

小松:Valvex自体はいい場所だ、と私は本当に思ってます。ただ、使う方の目的に合うか合わないかは、もちろんあると思うんです。それはなぜかというと、会議室っぽくないから、というのが、まず一つ。ただ、多目的なので、私は片付けっていうジャンルでここに来て、セミナーじゃなくて、もっとアットホームな感じで研究会をやりたいな、と考えてた。そういう場にはすごく合ってた。がっちりビジネス系の儲かる話で場を探してたら、ここじゃないかもしれない。もう一つは、アットホームだったり、参加者の方とちょっと同じ目線で何か始めようと思ってる人は、この場は一回来てみる価値はあるかなと思います。

それがすごくリラックスできて居心地の良い雰囲気がここにあるからかな、とも思うので、あとは見てみて、そして、吉田さんに会ってみて、決めていただけるといいかな~、というふうに思います。ここで私もかつてそうだったように、新しいことを始めたい人には、この場はいろいろインスピレーションも湧く場だと思いますので、ぜひ来てみて、決めていただければ、と思います。

─ありがとうございました。

小松:ありがとうございました。